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一番近くにあるゲームセンターは学校から少し離れた、駅へ向かう通りに位置している。
近くにはファーストフード店やらスーパーやらが立ち並んでるわけだが、今日の目的はそこじゃないから説明は割愛させてもらう。
そんな所に向かう途中のことだ。
「ね、夜風君」
「ん?」
並んで歩いていた綾川が突然声をかけてきた。歩を止めず、俺は反応する。
「夜風君って、月宮さんみたいな娘がタイプなの?」
「ぶっ!?」
完全に不意打ちだった。盛大に吹き出した俺は、思わず声が裏返ってしまった。
「な、なにをいきなり」
「うーん、ちょっと気になったから」
笑顔を作ってるようだが目が笑ってねぇぞ。
ったく、どいつもこいつも。
「そんなんじゃねーよ。……俺はどちらかっつーと、お前みたいな明るい奴の方が好きだな」
「え? あ…──っ!!」
火が出るんじゃないかと思うくらい顔を赤らめた綾川は、突然走り出すと、先に行ってしまった。
…怒らせちゃったんかな…。
「よーかーぜー、君って奴はホントに罪な男だねー!」
やや突進気味に柊が肩に腕を回してきたってギブギブ! お前何人のこと絞め落とそうとしてんだ! 危うくお花畑が見えるところだったわ!
「天罰だよ」
そんなことを言い残して柊もさっさと先に行ってしまう。
一人残された俺は、大きくため息をついてから、ぽつりと呟いた。
「やれやれ…」
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