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さて、道中奇妙なこともあったが、なんとかゲーセンへ着いた。
このゲーセンは郊外に位置していると言うにも関わらず、ゲームの種類が多いことで有名だ。対戦ゲームにレースゲーム、シューティング、スロット、UFOキャッチャーに音ゲー。
全部合わせれば百を越えるのではないかと思わせるくらいだ。こんな田舎じゃなく、もっと都市部に近い所に建てりゃ良かったものを。
「いやっほー! 久々のゲーセンだー!」
奇声を発し、奥へ消えていく柊。ガキかあいつは…。
残された俺と綾川だが、ううむこうして二人きりになると、どぎまぎしてしまうな。
何か話題は…。──お。
視線の先にクレープ屋があった。
なんとこのゲーセン、中にクレープ店まで入れたのか。つくづく無駄な投資をするな、ここの経営者は。
いやしかし助かった。俺は小さく咳払いをしてから言った。
「あー…、クレープでも食べるか?」
途端に綾川の顔が明るくなる。が、出てきた言葉は俺を驚かせた。
「まさかおごりだよね?」
何故そうなる。…はぁ、仕方ねぇなぁ。
「わーったよ。で、何にする?」
見た感じ、こちらも種類に富んでいるようだった。
こんなんでおまかせ、なんて言われた日には…いや、考えるのはよそう。
「うーん…、じゃあイチゴのやつ。よろしくね」
「あいよ」
肩越しにそう返し、俺はクレープ屋へ向かった。
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