900人が本棚に入れています
本棚に追加
「学生服着てるから、つい…」
悪かったな理解できなくて。落ちこぼれ舐めんな。
「じゃあもう一度、今度は日本語で言うわね。協力者を探してるの。彼も学生なんだけど、知らないかしら?」
「さぁ……。というか、いくらなんでもそれじゃ情報が少なすぎますよ。名前とか判らないんですか?」
すると彼女は困った表情を作り、
「ごめんなさい。わからないわ。でも頭文字はH,Aだったの」
頭文字言われてもなぁ…。
そもそもここは、この辺一帯の中高生が集まる場所だ。ウチの学校ならともかく、他校となると手も足も出ない。
加えて名前すらわからないとなると、もう八方塞がりだ。
「すいません。俺たちじゃ力になれそうにないですね。奥に行けば、もしかしたら見つかるかもしれませんよ」
「それもそうね。ありがとう。えーっと…」
「あ、俺夜風っていいます」
「そう。私はシンシア。縁があったらまた会いましょう、夜風君」
そう言って露出女──もといシンシアなる外国人はゲーセンの奥に消えていった。
出来るなら二度と会いたくない。ホント目のやり場に困るから。マジで。
「むー……」
「で、何でお前は唇を尖らせてんだよ」
「知らないっ」
ふいっと綾川はそっぽを向いてしまう。もう、何なんだー!?
その後綾川をなだめる為、更なる出費をせざるを得なくなったというのは、また別の話である。
うう、俺の小遣いが……。
最初のコメントを投稿しよう!