一章-朝焼け-

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二年前、 「私、近いうちに街に出ようと思うんだ。」 昔から大きな夢を持っていた君は僕に打ち明けてくれた。 その時の君は笑顔だった。 「そっか。んじゃ、僕はここで君を応援してるよ!」 君に心配をかけまいと、笑顔を返して言ってみる。 本当は辛いはずなのに、堪えていた。 「ところで、予定はいつ?」 少しでも長くいたい。 その想いを込めながら聞き、君の目を見詰めていた僕に君は気付いたかのように、 「一週間後に行こうと思ってたんだけど…準備に手間取っちゃって。一ヶ月後かな」 と、僕の事を気遣って答えてくれた。 君は変わらぬ笑顔のまま。 僕は少し泣きそうな顔を隠して、各々の家に帰った。
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