二章-約束-

2/3
前へ
/11ページ
次へ
僕たち二人は駅の前に自転車を置き、中に入る。 券売機を見るのは初めてじゃない。 でも、一番端にある一番高い切符が行く街を僕はよく知らない。 行った事も無いし、名前を知ってる程度。 君は今からそこに行くんだっけ。 今日から調べなきゃな。 そんな事を考えながら、券売機の中で一番安い入場券を買う。 すぐに使うはずなのに財布の中に大事にしまった。 君は一番高い切符を買うと改札口を通るけど、一昨日買ったばかりの大きな鞄の紐を改札に引っ掛けてる。 君は改札を通れず困り、僕を見た。 僕は君の目と合わせず頷いて鞄の紐を改札から外す。 君は笑顔で「ありがとう」と言ったけど、僕は笑顔になれない。 だって、君が遠い場所に行くから。 出来ればずっと傍に居てほしい。 叶わぬ願いを内に秘めてるだけで言葉に出さず、僕も改札を通っていく。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加