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そのオーラを感じ取ったのか、一年生の方がビクッ、と跳ね上がる。直後にはオーラが消え、不思議そうに辺りを見回す一年生。……一瞬で負けますよ?
心の中で呆れていると、シンスが溜息を吐いて同じことを忠告する。
「試合中にキョロキョロするな。良いか?見逃すのはこれで最後だからな?」
一応あんたのせいなんですけどね、とは言わない優しい俺。言ったらあいつは振り向くからね、絶対。
まあそんなことより、対戦者達は魔力を練り始める。一年も、それにしたら早い方ではあるが、流石にシンスには及ばない。
地に手を着いて、シンスが魔法を発動する。
「『沈下』、『穿牙炎狼』(せんがえんろう)」
沈下で地面の形を変える。普通は土中の水分を集め、地面をぬかるみさせ移動を制限させる魔法なのだが、あいにく地面は土ではなく石。
故に魔法の過程ではなく、結果として地面の形が変わる、とイメージし石を壊したのだろう。何気に壊した下の地面はゆかるんでいたりする。
突如壊れた地面に驚いて硬直する一年生に、炎の狼が走り寄る。
「『盾水』(じゅんすい)!」
一年生の目の前に盾となる水が現れる。形はまんま円い盾。
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