本戦 闘争と血

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「『彗水突砲』(すいすいとつほう)!」 ああ、ほら見ろ。威力がしょぼいぞ。 「あれは簡単に言えば、ウォーターカッターみたいなもの。水の勢いが凄いから、『切る』じゃなくて、『穴を開ける』くらいしか出来ないのがほとんどなの」 「なるほど。要するに魔力コントロールが鍵だと」 「そう。出力を上げることだけを考えると体が吹き飛ばされるし、逆に弱すぎると意味が無い。見極めが難しい魔法よ」 じゃあ今回は後者かな。精神的な疲れから、魔力コントロールがまったくなっていない。魔力を練っても、大半を無駄に散らしてしまっている。 威力は全然だろうが、速さは中々だ。恐らく、威力は度外視で速さにのみ魔力を注いだのだろう。つまりは牽制が目的だと。 「『紫炎貫槍』(しえんかんそう)」 紫色の炎がウォーターカッターに襲い掛かり、一瞬の間の後にはそれを蒸発させて突き進む。 回避、もしくは防御すると思っていたのだろう一年生は、驚愕に目を見開いて動作が遅れる。 慌てて避けるが、炎の槍は腕を掠めて飛んでいく。 精神的な疲労に肉体的な疲労。それに加えて痛み。これだけの悪条件で魔法を行使するのは難しいだろう。
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