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「まだやるか?」
「くっ……」
ギリギリ肘で体を支えている状態だ。人格を交代しても体の状態は変わらない。
確かに、人格を交代すれば魔法が使えるだろうが、大量の魔力を使っていたし、何よりシンスが許すとは思えない。
「俺の負けだ……」
『勝者、シンス!』
一年が負けを認め、勝者宣言がなされる。どうでも良いが、あれほどの実力の奴が中堅って、残りの二人はどんだけ強いんだ?
救護班が一年を保健室まで連行していく中、一年達が集まって何か相談しているのが見えた。
『次は、えーと?』
「棄権します!」
『棄権なんてルールはないっ!さっさと次の者はステージ上に上がれい!』
まあ、経験を積ませるための場で棄権なんてモン、許されるはずがないよな。残り二人の一年は何を考えているんだか。
「シンス、魔力量は大丈夫か?」
「正直、かなりキツイ。もうほとんどの魔力使った……」
まあ、あんだけ魔法連発してればな。ちなみにこの会話は一年が渋っている間に行われています。
ステージ端まで来ているシンスに、結衣が水とタオルを持っていく。
「お、ありがとな」
「い、いえ……」
「残り二人。勝てそうか?」
「んー、ギリギリかな?もしかしたら一人が限界かもしれない。今年の一年は優秀だよな」
「優秀な奴だけ集めたチームかもな」
笑っていると、ようやく決心がついたのか片方がオドオドしながらもステージ上に上がってきた。
結衣に水とタオルを返すと、シンスもステージの中央へ歩いていった。
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