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庄が部屋に入った時、所長は簡素なつくりであるガラス窓から、区画の様子を眺めていた。
「おお、流通管理課の。いかがです、あれから調査の方は進んでおりますか?」
恭しく平身低頭するのは、初老の管理所長だ。
「ええ、それなりに情報も集まってきました。現状ではこんな感じです。」
所長は寂しさが気になり始めた頭を掻きながら、庄が手渡した資料に目を通す。
「ふむふむ、なるほど。あー、五百円。しかも便乗値上げですか……。」
独り言をこぼしながら、じっくり10分近く見て、
「うーむ、状況はあまり芳しく無いようですね。」
所長から出たのは、そんな言葉だった。
「ええ。農協側では、既に第二次値上げも検討されています。早急に、何らかの対策を講じなければなりません。」
「今日、ようやく在庫の安全確認が済みましたから、それを出荷します。明日にでも販路に乗りますから、多少は落ち着くでしょう。」
「流通管理課の方でも、一時的に市外から輸入するよう手配していますから、そちらはちょうど場繋ぎの対策になりますね。」
「何とか、解決への道筋は出来てきましたな。後は犯人か。」
最大の懸案事項は、他ならないそれである。
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