実力

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地獄のランニングは、まだ始まったばかり 信二郎は息を切らしながら先輩方、そして敦の走りを見ていた 6km経過 かなり苦しいのか、敦は腰に手を当てながら走っている 一也も、その光景を見ていた 「中学の時、一番だったのにな…」 一也が小さくつぶやく この練習は、中学の時にランニングで一番だった敦をも苦しませているのか 信二郎は、自分の肌に身震いを感じていた 7km経過 敦は、泣きそうな顔になりながら、頑張って走っていた しかし努力空しく、そこで敦は足を止めてしまった 両膝両手を地につけて、目を閉じて呼吸を整える 1年生は、3人ともギブアップとなった 勿論、先輩方はまだ走っている その先輩方を信二郎らは、目に焼き付けるが如く見ていた ふと、視点の端に中川先生がこちらに歩を進めているのが見えた
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