退廃的神仏論めいた世迷言

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「カミやホトケが在るなら、何故信仰なんてする?」 ふと独り言の様に彼が問うたので「さあ」と適当に僕は返した 「だってさ、神が在るならわざわざ安らかになんて祈る必要無ぇだろ?  仏が在るなら情けなんて概念要らないよな。云う迄も無く人間みんなが持っている筈だからな」 指先で火の点る煙草を弄びながら彼は問う 「まあね。神や仏が在るなら皆同様に救われなくてはならない筈だ」 僕は同意を示してやってから砂糖ドカ入れのココアのマグカップを彼の前に差し向けた 「サンキュ…て熱っ」 「淹れ立てだもの当たり前。良かったじゃない、生きてる証拠だ。君は神経が通っているのさ、目出度い目出度い」 棒読み口調で云い退け乾いた音を立て手のひらを打ち合わせてやった 「イノリはカミに届くのか」 顔を向けずに問うので「さあどうかな」と僕は応える 「願いが遍く総て叶うなら、願いなんて要らないだろう」 「それでも皆救われたいのさ」 「世界はとっくに終わり果てて唯唯遺されたものはそんな戯れめいた泣き言ばかりか」
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