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「おい!!なんだお前は!!!先輩って…お前みたいな奴、俺は知らん!!」
「そっか…もう一年以上前のことだもん、覚えてませんよね…。ほら、あの、去年中学の文化祭のときに、落ちてきた看板から助けてくださって…」
久しぶりの再会で大喜びしている私とは正反対に、私のことを覚えていないようで戸惑っている真壁先輩。まぁそれも仕方ない。会ったのはあの事故以来だし――。
そう思っていると突然、先輩の目の色が変わった。
「去年の文化祭のって…お前まさか、天見愛流とかいうやつ?!」
「嘘…覚えててくださったんですか…?」
「いや、覚えてたってゆーか、兄貴が…ぐぇっ!!!」
「嬉しいーっ!!私も先輩のこと一時も忘れたことはありませんでした!!ここだって、先輩を追いかけて受験したくらいで…」
かなり突っ込んだことを言ってしまったことに気付き、私はヤバい!!と思って口をつぐむ。だが先輩は私の言葉を聞き逃してはいなかった。
「なぁ、先輩を追いかけて受験した、っつった?」
「は、はい…」
「その先輩って?真壁豊?お前を助けたっていう?」
「はい…ってか下の名前豊っていうんですね…」
豊さん、かぁ…。なんかこう、温かい、いい名前…。ポヤーンとしていると、先輩は訳の分からないことを口にした。
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