熱くなれ

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「そうと決まれば、臣!!まずは何をすればいいの?!」  会場に来てほんの数十分の間に色々なことがありすぎてパニックに陥っていた私も、臣のお陰で今は大分落ち着きを取り戻していた。それでもやはりショックは大きく、鏡を見れば白髪になっているのではないかと不安になるほどだ。  だが今はそんなことより、試験。まずは試験のことを考えなければ。本当に志望していた学校ではないとはいえ、応援してくれた人達のためにも、高校浪人になるのだけは避けたい…!! 「そうだなぁ、まずは…あ、とりあえず受験票見せてみ」  何故受験票が必要なのかは分からなかったが、とりあえず臣にしっかりしまってあったそれを渡す。今は何より彼の力が必要だ。彼の言う通りにすれば、きっと―― 「はぁ?!なんでお前、一般受験なんだよ!!」 「えっ?!なんでも何も――」 「~…!!まぁ、この学校について何も知らなかったんだからしょうがねぇか…」  そう言うと、臣は何かを呟いて太陽に手を翳す。するとポンッという音と白い煙に巻かれて、ホワイトボードが現れる。傍らには踊るように自由に動き回るペン。これも魔法でやってるのよね…スゴいなぁ…。 「うちの学校の試験には種類が2つある。1つは魔力を持ち、ある程度魔法を使える者が受ける、魔力保持者受験。もう1つは魔力を持たない者、あるいは魔力を多少は持っているけど使えない者が受ける、一般受験。魔力保持者受験なら受験番号である程度試験内容が予想できたんだけどな」  臣の説明に伴い、ペンが勝手にサラサラとホワイトボードに文字を刻んでいく。意外と達筆なことに驚きながら、私は分かりやすい説明にうんうんと頷いた。 「で、お前は一般受験、と。でも勿体ねぇなぁ。お前なら普通に魔力保持者側で受験出来たろうに」 「どういうこと?」  臣の言葉が意に介さないでいると、臣は驚いたように目を見開いて言った。
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