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意を決してカードに触れる。と、みるみるうちに触れた部分から色が変わり始めた。
――黒く。
「なっ…!!」
え、何?赤くなるんじゃないの?と疑問に思う私をよそに、明らかに動揺する玲菜。彼女は慌てて私からカードを引ったくると、それを粉々に破り捨てた。
「ちょっ…!何すんのよ!!」
「認めませんわ!!貴女のようなポッと出の一般受験生が、このカードを赤どころか黒く染めるだなんて…!!貴女、謀りましたわね?!」
「はぁ?!知らないわよ!!そっちこそ変な細工でもしたんじゃないでしょうね?!赤くなるはずが黒くなるなんて…おかしいじゃない!!」
訳も分からず突然食ってかかられて、私も負けじと言い返す。バチバチと火花を散らしながら睨み合っていると、不意に玲菜の目が大きく見開かれた。
「…?――っ!!!!!」
突然、後頭部に鈍い痛みが走り、私は頭を抱えてうずくまる。痛みを堪えて何事かと振り返れば、そこには生徒用の椅子が転がっていた。な、なんで…?
その頃、簡易魔遠望鏡で教室の様子を眺めていた臣は舌打ちをしていた。
(だぁっ!!アイツなんで魔力放出して防がねぇんだよ!!これで防げてたら、上之宮だってちったぁ認めただろうに…)
作戦が失敗に終わったことにガッカリする臣だったが、当の玲菜は――
(まさか…あの椅子で私を攻撃しようとしましたの?!でも魔力が強すぎてコントロールが出来なかったと…そんな、まさか!!)
勘違いをした玲菜は悔しそうに顔を歪めると、突然スタスタと扉の方へと歩き出した。
「どこ行くのよ!」
「場所を変えますわ。黙ってついていらっしゃいな!」
どこまでも高圧的な態度が鼻に突く女だ。私はギリッと歯を食いしばると、玲菜の背を追った。
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