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「サンダー・シールド!!」
刹那、バチィッ!!という鈍い音が響き、私は目を開いた。すぐ目前に迫っていた玲菜と私の狭間に、臣が立ちはだかっている。魔法の防護壁を張ってくれたらしい。真っ直ぐ差し出された彼の左手の平すんでのところに、玲菜の氷柱と化した右腕があった。状況を把握し、少し遅れてようやく緊張の糸が解れ、安堵する。体中の力が抜け、私はその場にへたりこんだ。
「上之宮、もういいだろ」
臣の言葉に、玲菜もその場に崩れ落ちてうなだれる。それを見て、これ以上の追撃はないと見做した臣は、放心状態の私のもとへやってきた。
「愛流、大丈夫か?」
ポンポン、と頭を優しく叩かれ、私はYESの意を込めて頷く。それを見届けると、臣は満足げに笑った。私もつられて笑顔になると、臣は私の手を取り、立ち上がらせた。まだ足に力が入らなくて少しよろけると、臣が腰に手を回し、しっかりと支えてくれる。なんだか気恥ずかしくて、私はチョイチョイ、と制服のスカートの裾を引っ張ってみたりした。
玲菜は、と様子を見れば、駆け付けた取り巻きの連中に囲まれて、まだ立ち上がれずにいる。臣を見ると、彼もこちらを見ていて、私達は無言で頷き、玲菜のもとへと歩み寄った。
「…試験の結果、聞いてもいいかな?」
私の言葉に、玲菜はビクッと肩を震わせる。その後彼女はしばらく黙って地面を見つめていたが、キッと私を睨みつけると、懐から1枚の紙を取り出し、それに手の平を翳した。手の平から零れた光の粒が描き出した文字は――
「合格」
それを見て、私と臣の顔は綻ぶ。玲菜は取り巻きの1人に支えてもらって立ち上がると、仏頂面のままその合格証を私に寄越した。
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