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「行ってきまーっす!!」
元気よく家を出て、駅へと駆け出す。道すがら擦れ違う人達の視線を受けては、改めてこの学校の凄さを感じるのだった。
「愛流ちゃーんっ!おっはよー♪」
駅前のバス停で、偶然ひかるに会う。真新しい制服に身を包んだひかるは、中学時代より少し大人びて見えた。
ひかるには試験の後事情を説明し、こっぴどくドジだのなんだの言われた後、それでも合格を祝ってもらえた。聖法で真壁先輩の弟である臣に出会ったことも話したら、やたらからかってきたりもしたが。
「わぁ、やっぱり聖法の制服可愛いね!」
ひかるに褒められて得意になり、私はその場でクルッと一回転してみせる。龍の描かれた校章を胸にあしらった紺のブレザーに、袖と裾にフリルのついたブラウス。スカートは赤いタータンチェックの巻きスカートで大人っぽい雰囲気だが、裾を留めるピンについた星のチャームがまた可愛らしさも醸し出している。私はすっかりこの制服が気に入っていた。
「ひかるも制服似合ってるよ!ボレロ可愛いじゃん♪ひかるの学校も今日入学式だよね?」
「うん、そう!愛流ちゃんとこも今日かぁ♪臣くんと同じクラスになれるといーねっ☆」
「うるせー!」
笑いながらペチッと軽くひかるの頭を叩き、手を振って別れる。駅の階段を駆け上がる足取りは軽やかだった。
電車とバスを乗り継ぎ学校へ着くと、満開の桜が出迎えてくれる。私は意気揚々と、クラス割が発表されている掲示板へと向かった。
掲示板の前はたくさんの生徒達でごった返していて、なかなか自分の名前を見つけることができない。一生懸命背伸びをして掲示を覗き込もうとしていると――
「天見愛流さんは1組ですよ~」
「きゃっ?!」
耳元でいきなり声がして、驚いて振り返ると、そこには臣が笑いながら立っていた。
「もー!ビックリさせないでよ!」
「ごめんごめん。お前背低いから掲示見づらいだろうと思って、名前探しといてやったぜ。愛流は1組。俺と一緒」
同じクラスだと聞いて嬉しかったのだが、照れ隠しに「背が低いは一言余計だ」と、お腹に一発食らわしてやる。臣は笑って平謝りした。
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