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「聞いた?!真壁先輩、清鳳学院行ったんだってー!!」
「マジ?!超スゴくね?!」
「清鳳かぁ。あそこ制服超可愛いよねー!!」
「でも超難関じゃん?うちらじゃ絶対無理だってー!!」
昼休みに教室でお弁当を広げてゲラゲラ笑うギャル系のクラスメイト達。その会話の中に真壁先輩の名前が出たのを、私の耳は聞き逃さなかった。
「…清鳳学院だって」
「ひゃっ?!」
急に耳元で囁かれ、驚いて振り返ると、そこには3年生でも同じクラスになったひかるがニヤニヤしながら立っていた。
「もー、ビックリするじゃん!急に何?」
「うぅん~、別に~ぃ?」
ニヤニヤ顔はそのままに、ひかるは私の前の席が空いていたので、そこに座ってお弁当を広げ始めた。私もそれに倣って自分のお弁当を広げる。今日のおかずはハンバーグと冷凍のミニグラタンだ。ひかるのおかずは鶏の唐揚げとナポリタン。二人でいただきますをして食べ始める。どちらともなくおかずの突き合いが始まって、和やかな雰囲気になってきた。
「唐揚げ1個ちょうだい!」
「いいよ~☆ねぇ、愛流ちゃん」
「ん?」
「愛流ちゃんて、真壁先輩のこと好きでしょ」
唐突なひかるの言葉に、思わず唐揚げを落としそうになる。ギリギリのところで持ちこたえ、金魚のように口をパクパクさせながらひかるに抗議の視線を送ると、ひかるはニヤニヤ顔に拍車をかけて私を見ていた。
「やっぱりそうだったんだー♪先輩かっこいいもんねぇ、分かるよぉー☆」
「だぁぁぁっ!!声が大きい!!」
制止する自分の声が一番大きいことには気付かず、慌ててひかるの口を手で塞ぐ。ひかるがムグムグ言いながらごめんごめん!とジェスチャーをしたのを見届けて、私は手を離した。
「え、やっぱり去年の文化祭のときから?」
「え…まぁ…」
もうこの話は終わりかと思ったら、ひかるは声を潜めて先輩ネタを続ける。
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