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僕にとっては何気ない子供の戯れに過ぎない約束だったのかも知れない。
でも彼女にとってはとても、とても大切な約束で、だから僕にできる限りの事を全力でしたいって思う。とりあえず美甘(みかん)さんに相談しないとな…
僕は姫那が落ち着くのを待って学園に帰る事にしたのだが、
「姫那、悪いけど少し魔力を分けてくれるかな…」
恥ずかしながら今の僕には、学園への扉を開くだけの魔力すら残っていない。
差し出した手のひらに、そっと自分の手のひらをあわせてくれる姫那。やっぱりこの子の魔力は綺麗だな。
「目を閉じて、」
学園へは一瞬だ。ここは魔法の世界なのだから。
僕たちはフワッとした浮遊感の後に目的地に着く。
「目を開けて良いよ。ようこそ星桜魔法学園へ」
ゆっくりまぶたを上げた姫那が見たものは、
「すごいです…。空に浮いてる島なんて初めてですっ!」
スカイパークも顔負けですねっ!と姫那は驚いていた。
無理もない。星桜魔法学園は、学園浮島と呼ばれる巨大な浮き島に建てられている。初めて訪れる人は誰しも驚くのだ。
うわぁ~と、感動している姫那を促して学園長室へと向かう。
トントンッ!
「八神咲です。失礼します」
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