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もう少しこのまま、女の子特有の柔らかさを堪能したいという思春期少年の欲望を何とか制し、ベッドからの脱出を試みる。
しかし、事は簡単な事では無かった。姫那が腕で僕の頭を抱きしめるようにして寝ているのである。無理に動いて姫那を起こしてしまうのはまずい。
どうするかしばし悩んでいると、
突如、ドンドンッと盛大にドアがノックされる。
「おい咲、起きてるか?早くしねえと初日から遅刻するぞ!」
声は斜め上の部屋の住人にして、親友の鳴神友哉(なるかみともや)のものだった。
止めてくれ、ドアを叩くな、大きな声を出すな。姫那が起きてしまうでは無いか!
それに、遅刻って……。
「まだ寝てんのか。ドア開けるぞ!」
遅刻、…遅刻!?
って今日から新学期だった!!
昨日のごたごたで頭からすっかり飛んでいた。
待ってくれ友哉。今起きる。現状でドアを開けられるのは非常に困る!
――鍵はかけたはずだよな…?
「ん、っん~」
むぎゅっと、姫那の胸、魅惑の谷間に僕の顔がホールドされる。そして、だんだん腕の力が抜けていき、コロンと姫那が寝返りをうつ。
脱出チャンス到来。
と、同時にカチャと小さな音がドアから聞こえた。
どうやら鍵の開錠が終わったらしい。
距離的に既に寝室の鍵まで開け終わっている…
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