110人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、いない奴のことを考えていても仕方ないのでとりあえず姫那を起こすことにする。
横であれだけ騒いでいたのに、まだ寝ていられるとは凄いもんだと思いつつも、安心して寝ているその顔を見ていると何だか起こすのをためらってしまう。
彼女は8年ぶりに僕と再会してどう思ったのかな…
僕を頼って来てくれたけど、姫那は今の僕の現状を知らない。8年前とは違うのだ。僕なんかで姫那の力になれるのかなと思う。だけど、できる限り安心して過ごせる環境をつくってやりたいと思ったりもするのだ。
「ひなー、起きろー」
とりあえず呼びかける。
美甘さんとは違い肩を揺すろうものなら、別のところまで揺れて目のやり場に困ってしまう。
当然と言うか何というか起きない。ふと、出来心で頬をつついてみる。ふにふにと凄く柔らかい。自分とは比べ物にならない程、滑らかな肌触りをしている。少しの間、普段味わえない感触を堪能していると、ゆっくりとまぶたが持ち上げられ始めた。
「おはよ。よく寝れた?」
「は、はい。おはようございますっ!」
慌てて起き上がり、お辞儀をしてくれる。
「そう、良かった。昨日言い忘れてて悪いんだけど、今日始業式なんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!