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広いスカイパークで特定の1人を探すのはなかなか難しかった。探している間、どんな会話をしたのかは、あまり覚えていない。だけど、少女が母親と再会する少し前に話していた事は思い出してきた。
「咲君は優しいですね。将来は咲君みたい人と結婚したいな♪」
「結婚って何年後の話しだよ」
「女の子は16才で結婚できるから、あと8年ですね」
男は18才だから正確に言うとあと10年だけどな。姫那は僕の事年上だと思っているのだろうか?
「それじゃあ、今から姫那は僕のモノだ。困った事があれば僕のところに来いよ。」
僕にとってはただノリで言ったに過ぎなかったのだろう。8年もの間、自分の事を好きでいてくれるなんて欠片も思ってないから。
「はい、今から私は咲様のモノですっ」
「様って何だよ…」
「私がそう呼びたいだけですよ~」
「はいはい」
以上が僕が今思い出せた少女との出会い。
「姫那……か?」
「はいですっ!」
少女、姫那の表情がパッと明るくなり、笑顔がとても可愛かった。
「あのっ。咲様!」
姫那は真剣な顔をしていた。
「……」
僕も顔を引き締めて答える。
「お願いがあります。私を咲様のところにおいて貰えないでしょうか!?」
深く、深く頭を下げる姫那。
彼女がおふざけで言っている様には思えなかった。だけど、二つ返事で了承できるほど、事は簡単な問題では無かった。だいたい僕のところって、男子寮だし…
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