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むせかえるような血のにおいが風に乗り 路地裏に吹き込む 辺りにはもう屍人と化した咎人が横たわっている
人を斬るのが楽しいわけではない 仕事と言うだけ しかしそんな言葉だけで片づけられるというわけでもない もうこんなことをかなり長くやっているが たまにふと思う
もしかすると楽しいのかもしれない
似たような仕事を生業にし続けてきて 今更否定する気もない まして辞めるつもりもない 人を斬るのが楽しくて ではなく 人を撃つのが楽しくて ではなく
ただたんに その悪魔のような諸業が気に入らない だから遠慮無く討つ 悪い気はしない 消えて当たり前の存在に 情けを掛けるのは飽きた
………ルル、ルルルルルルルル、
「……!
ふと我に返ると、自分の携帯電話が鳴り響いているのに気付いた俺は、慣れた手つきで納刀し、取り出した携帯電話に出る、
「…終わったか??
「ああ~……、余裕余裕♪しっかし今回抵抗してくる奴等が結構いてよ、遠慮しなくてよかったわ~♪
「そうか……、先に帰ってる、別で帰ってこい、
「うぇ~??結構遠いよこっから、
「何か頼んどいて欲しいものあるか、飯でもとっとくが、
「ハンバーガーLセットにミックスピザにホットドッグとコーラとメロンソーダ、それとリコピンムース、……じゃなくて、迎えに来てくれるとか……
「いいから黙ってうなずいとけ、
「……なんで??
「いいからうなずけ、
「……いえす。
ブツッ!……ツー、ツー、
「……………。
……やられた、いつもと違うパターンにまんまとはめられてしまった、
「仕方ない、歩いて帰るか~、
渋々携帯電話をしまうと、人目につかない路地裏を帰るべき場所へ向けて進む、
前に、後ろを振り向き、屍人達と誰かに一言、
「さっきの回想みたいのは気分だ、んなこと微塵も思っちゃいないよ、それに、俺がお前等を狩った理由は、罪人にデカい顔されて歩かれるのにイラッと来るからよ、ただそんだけだ、地獄で精々呪うんだな、グッラァック♪
上着の裾を翻し、その場を後にする一人の男、見た目や性格や人間性はあれだが、罪人をそのニヒルな笑みで次々と地獄へと堕としていく、
奴は【死神】と呼ばれる男……
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