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「ね、そろそろ戻んない?」
放課後、寮の部屋でベッドに横になっていたら五関からいきなり言われた
「「は?」」
その唐突な発言に俺と河合は声を合わせてしまう
「もう四年も経つんだし、そろそろ戻ってもいいと思うんだよね」
「四年…もうそんなに経ったんだ…」
「でもさ、五関くんッ…」
「これは北山が決める事なの郁人は黙ってて」
「…」
四年前…俺ら三人は東京を離れた
誰にも言わずに
学費は毎月振り込んでもらう事は出来るが、家はどうしようもなかった為、全寮制の学校に転校してきた
本当は俺一人で構わなかったけど、五関が
「お前一人で行かせるのは不安過ぎる」
と言ってついて来てくれた
今では感謝してる
「帰っても…いいかな」
「本当に?」
「うん」
「じゃあ俺達、職員室に行って手続きとかしてくるから
…郁人行くよ」
「え、何で俺まで…」
河合は半強制的に五関に連れられていった
「また気使いやがって…」
五関はきっと、俺が心の整理をしやすいようにと思って河合を連れて行ったんだろう
河合は心配し過ぎだ…
五関みたいに人の心を察する事が出来ないんだよな
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