月のない夜

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あるところに、とても栄えている国がありました。 その国の王様には妃がおりました。 王様は妃を愛していました。 しかし、妃は王様を愛していませんでした。何故ならば、妃は王様と無理やり結婚させられてしまったからです。 妃には愛する者がおりましたが もう、会うことさえできなくなってしまいました。 妃は王様を憎み、恨み そしてある夜、妃は 王様を殺してしまいました。 庭で咲き誇る薔薇の中 最も赫い血の赤は薔薇の赤をも染めてゆきました。 そこにいたのは 妃と、薔薇と、真っ赤な 血の色をした蝶だけでした。 蝶は、王様を愛しておりました。 愛という感情を知らずに 王様を愛しておりました。 蝶は怒りに狂い、姿を変え 妃を殺してしまいました。 そこにいるのは真っ赤に染まった薔薇と 醜い2つの亡骸でした。 蝶は赫く、ただ赫く 王の胸元で 愛を求めました。 †━END━†
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