382人が本棚に入れています
本棚に追加
/521ページ
_文久三年夏の京
ある宿屋に二人の男がいた。
「確か今日だったな。」
そう呟いたのは、藩医である肩下程の長さの髪を後頭部の真ん中辺りで結って、腕を着物の袂に入れて組む、どこか気品の漂う爽やかな好青年。
_久坂 義助(クサカ ヨシスケ)だ
「清正か?」
長髪を頭上高く結い、大人の落ち着きを漂わせた美麗で穏やかな顔つきの男が微笑し言う。
_桂 小五郎(カツラ コゴロウ)である
「今の名は確か…柊治であろう?」
「あぁ、そうだな。」
静かに瞑っていた切れ長な瞳を開けて言う久坂に、至って穏やかに微笑みながら返す桂。
最初のコメントを投稿しよう!