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「今日中には京に着くと文に書いておるし、会いたい義助の気持ちは分かるが、静かに待て。」
先程から忙しなく揺すられている久坂の左足に目をやりながら桂は言い、開かれた窓から夜空を見た。
今日は一日中快晴で、今も雲一つなく、三日月と星が眩しい程に輝いている。
日中は焼ける様に暑かったが、夜は流石に涼しくなり、過ごしやすい。
桂に釣られて久坂も外を見やると、昼の賑やかな喧騒が嘘の様に、今宵はヒュウヒュウと鳴く風の音に紛れて、カサカサと葉の擦り合う音しか聞こえて来ない。
とても静かな夜だ。
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