第一章 『物は言い様』

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「少なくとも、あなたに依頼するということはチンピラ程度が相手ではないでしょうね。武装した、警察程度じゃ役に立たない事例。マカロフ程度が相手なわけがないわ。UZIか、もしかするとMP5でも出てくるかもしれない――――もちろん、受けるわよねいえ否定はだめよもう前金ももらったしたんまりと」 「分かった分かった、話だけは聞いてこよう」  あっという間にオムライスを食べ終わったリョウようやくそう答え、オレンジジュースをコップに注ぎ一息で飲み干した。甘さを伴った液体が口内を良く冷やし、喉をさらりと流れ落ちていく。その感覚を味わいながらリョウはもう一杯を注ぐ。 「それで、俺の報酬はどんぐらいだ?」  その言葉にマスターが一本の指を立てた。リョウの顔がほんの少し歪む。   「百万……ってそれは少ないな」 「一千、一千万万よ」 「……話だけじゃきかねぇな」    その歪みが一瞬で消えた。たかが護衛で一千万も出す人間はそうそう居ない。それに、往々にしてマスターが受け取る前金に実費をプラスするとリョウと同じだけの金額、ということが多いから総額にすれば二千万になる可能性があるということだ。そんな相手を、話を聞いてはいさようならと追いやる訳にもいかない。絶対に逃せない食い扶持だ。
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