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沖田は目を見開いて声を上げた後、ハァとため息をついた
そんな姿を見てとっさに山崎は日与と男性の会話を思い出す
「あの…」
日与さんが寂しがってました
そう言おうと思ったのに、ため息をついた後の沖田の優しげな微笑みを見て何も言えなくなってしまった
「全く…この子はじっとしていられないんですかね」
それは戻って来たことによる安心感から出た表情なのか…
日与さんは…特別なんだ
そう思うと同時に、何も言わずそっとしておいても大丈夫だろうと思った山崎は少し笑ってしまった
「どうしたのぉ烝君?」
「い、いえ…その、永倉さんを置いてきます!!」
不思議そうに聞いてくる島田に焦ってそう返答した山崎は、二人にお辞儀をした後永倉の部屋に向かって走り出す
問題無さそうだとはいえ、一応土方さんには知らせるとして…今日は沖田隊の活動はないですよね?
そんな事に少しの寂しさを感じつつ、山崎は未だ爆睡の永倉を抱えて走って行った
「で、どう思います?」
男はそう問いつつ窓の外の闇に浮かぶ美しく光る月を眺める
「どう思うって…何をどう思えってんだよ?」
その問いに部屋にいたもう一人の長髪の男はそっけなくそう返した
「私の話聞いてました?」
「は?だからお前が島原に行って女っぽい男で、今から先の時代から来ましたぁ!!とかふざけたこと言う奴に惚れたって話しだろ?」
「…桂さん全然聞いてないよ。これだからオジサンは…直そっちの方向に持ってくんだから」
「何っ!!?」
長州藩士桂小五郎(カツラコゴロウ)はその言葉を聞いて、心外だとばかりに淡い光の中読んでいた書物から目を話す
「新撰組の奴かちゃんと確認出来なかったんだろ?しかも女かも確証ねぇ。そんな話の何処を信じろってんだよ?」
「同じ宿だって聞いたから来てみたけど…やっぱり玄瑞(ゲンスイ)に言えば良かった」
「………」
聞いてねぇぇぇぇ!!
桂はその言い分に少しイラッとして、じゃあ早く自分の部屋に戻れと言いたかったが、グッと堪えてため息をついた
「じゃあ何か…吉田、お前はそれが本当だっていうのか?」
その言葉に長州藩の活動家…
吉田稔麿(ヨシダトシマロ)は微笑む
わざと冗談の様にふるまったあの態度に慌てよう
信じがたいけど…
面白くなってきた。そう思いつつ、吉田は静かに呟いた
「私は…嘘じゃない様な気がするんですよ、桂さん」
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