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春の温かな風が…
窓から静かになってしまった教室内に吹き込んでくる
何処までも優しくて、ふんわりと人を包み込む様な風だ
窓から見える空はオレンジ色に染まり、揺れ動く桜は心地よさそうにその風に揺られていた
ひらひらと落ちる花弁は、校庭をピンク色に染めていく
そんな光景に見入る私の座る机の上には
『新撰組』
と大きく達筆で書かれた本が置いてあった
春のその優しさは…
時に人を感情の波と言う物に巻き込むのだろうか?
外を見ていた私は耐えきれず、散りゆく桜から目線を外し…
ただただ目を押さえて暗く落ち込むしかありませんでした
と、その時ガラガラとドアが開く音がしたかと思ったら、同時に声が聞こえてきたのだ
「ちょっ!!
どうしたのよ日与!?なに、泣いてるの!?き、キモイ」
「き、キモ!!?いやいや勘弁してくれよ…人が涙ぐん…
い、いやいやこれただ目を塩水で清めてただけだからね!!」
「なに、どうしたのよ?」
慌てて言い訳をし始める私を今度は本当に心配してくれたらしく、控えめな声が聞こえてくる
ここは…ここは甘えてこの心の苦しみを解き放とう…
心の苦しさ故にそう決心した私は静かに口を開いた
「聞いてください…」
「何?」
「沖田総司ってヤバくね?」
「…なんで?」
「だって…」
私は机に置いてある本をバッと素早く掴んで、それを勢いよく前に付き出した
「読んでくれよこれ!!
何これ、最強剣士なのに病死ってなんだよ病死って!!
死ネタかおい!!?
しかも局長がお見舞いに来た時に声を上げて泣く?
チクショー!!
神様ってもっと良い人かと私は思ってたよ!!」
怒りMAX
私の心は今サタンのように炎をまとって…いや、サタンあんまり知らないけどね
「そんなこと?」
「そんなことだぁぁ!!?」
怒る私に怯む事なく呆れたように言ってきたかと思うと、不意に私の頭に温かい感覚が宿る
て、確実に頭を撫で撫でされてるんですけど
こ、子供扱いをされている…?
おいおい同い年でしょうが!!
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