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その手をブンブンと頭を振って退かした私に、少し呆れたような声が降ってきた
「あのね日与、この人は殺人鬼なのよ?人を殺してるの」
「うっ…」
「まぁ、可哀そうと思う気持ちも分からなくないけど、この人に殺された人達も可哀そうでしょ?」
「そ、それは…」
「同情する必要なんてない!!」
「むむむぅぅ」
その言葉はなんていうか…正論である様な気がした
でも納得出来ない私がそのまま言い淀んでいると、ポンっと頭に一回強く手が乗ってきて…
それじゃあ帰るからね!!ちゃんと課題終わらせなよ!!
という声が聞こえてきたかと思うと、その手は私から離れて行った
教室内にはまた私だけになり、そして目の前には何も書かれていない真っ白い紙
そう、実は日本史の課題として友達に勧められる形で新撰組を題材にしたのだ
その子は新撰組の沖田総司が好きとかで
まず一番最初にチェックして!!と、勧められてしまって…
その言葉に従い沖田総司の事を見ていたら…さっきの様な陰のオーラをまとう事になってしまった
結核
今では薬で治る病気になっているけど、どうやら昔は死病となっていたらしい
その病気にかかった新撰組一番隊隊長沖田総司
最強とも言われた剣士にとって、刀を取られるというのはどういう気持ちなんだろう?
大切な仲間を残して、局長の死も知らずに一人で死んだ彼は、やっぱり寂しかったのだろうか?
そんなことを考えたら、殺人鬼だろうがなんだろうが、生きてほしかったと思ってしまう
それは現代に生きる甘ちゃんだから思う事かもしれないけど…
もし、もしも…あの時代に行けたら、現代人である私は彼を救えたのだろうか?
なんてマジでそんな気持ち悪い事を思う始末…
そして残念ながら思うだけじゃ止まらないのがこの私だ…
私は自己マンため、結核を調べに課題もほったらかしてコンピュータ室に向かっていった
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