拙者、名乗る程の者では御座らぬ的なノリの奴程大物だ

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しかも、島原にたどり着いた後直にべろんべろんの永倉は発見できたものの日与の方が見つからない 屋根裏から部屋を見て行って、やっと見知らぬ男と話しているのを発見した 敵か味方かも分からなかったため会話を聞かせてもらったが、日与は偽名を使っていたし、新撰組の事も黙っている 特にこれといって問題になる様な会話はしていなかったが、日与の酔いがまずいと思い、ここの店にいる山南の馴染みの明里(アケサト)という女性に頼んで連れ出してもらう事にしたのだ それにしても…日与さんは何を言っていたんでしょうか? 山崎は足を動かしながら、聞こえてしまった会話の事を考えた 山崎が明里を連れて来た時、何故か日与の酔い方が半端無くなっていて、そこで… 「実は今からずっと先の時代から来たんですよぉ!!」 というものを聞いてしまったのだ 前々から日与がどうやって屯所に入ったのかは疑問に思っていた 朝庭で倒れていた所を藤堂達が見つけたとしか知らされていない でも、それでも今の時代から先の時代というのは…日与さんも嘘って言っていたし… そう思いつつも、もしかして斎藤なら何か知っているのではという思いが湧きあがってくる 本という存在… 自分が沖田隊に入った時に、日与が土下座してまで言わなかった事 聞いてはいけないのだろう…そう、山崎は思いつつも一種の寂しさの様なものを感じた でも…と、山崎は己の心を振り切るように頭を少しふり、夜の風をまといながら走り続ける 日与さんが言わないんだから…きっと俺達を思ってくれてる事…悪い事なんかじゃない ただ、その思いだけが確かに山崎の中にはあった そして屯所が見えてきた時、何か話し声が聞こえてきて、二人の人間の影を見つけたのだ 「あ、ほら帰って来たよぉ」 「山崎さん!!」 「か、魁さん…沖田さん…す、すみません…遅くなって」 そう、それは島田と沖田で、山崎は遅くなってしまった事を詫びながら、いつの間にか寝てしまっていた日与を沖田に渡す 最初自分で歩きます!!とか言った日与だが、言った瞬間に寝てしまい山崎が運んだのだ ついでに永倉は既に運んでくれとばかりに御就寝していた 日与を受け取った沖田は、その様子に、ん?と眉をひそめる 「お酒の…匂いがするんですが」 「あの…どうやら、永倉さん、迷って島原に…行ってしまったみたいなんです…」 「し、島原!!?」
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