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「なんでさ? そりゃまぁ寒いし、僕もあんまり好きな季節ではないけどさ」
真っ白な空間の中、白い息を漏らしながら続けて彼女は語る。僕は相も変わらず聞役だな。
「私も寒いのはイヤよ。そうじゃなくて……そうだなぁ、敢えて言うなら、冬ってなんだか……上手く言えないけど、儚いみたいで」
そう彼女は白い言葉を漏らし、その言葉は周りの雪景色に紛れて消えた。
何がなのか、僕はあえて訊かない。先刻みたいに、そうだな、と相づちを打つ事で済ませておく事にしたのだ。
『ある冬の日の会話』
~完~
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