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「いよいよか……」
「いよいよだねぇ」
キリッとした表情の愛流の横には、ぽやっとした表情のひかるが並ぶ。
朱美学園の全教師が体育館に、生徒の様に整列して勢揃いしていた。
これから、学園ファイトの開会式が始まる。
愛流とひかるはそれ以上なにも喋らなかった。
周りも全く喋っておらず、呼吸音が聞こえてくる程、体育館は静寂に包まれていた。
静かに集中する者や殺気立っている者。
この状況で馬鹿の様に喋る者などいなかった。
そんな中、老齢の男性がゴホンと咳払いをする。
教師の視線が老齢の男性ーー教頭に注がれる。
教頭は学園ファイトに参加できない高齢者が担う。
なる条件はその都度様々なので、毎年学園長が変わると同時に交代する。
「え~では、学園長の挨拶です」
教師たちの視線が教頭からステージへと移る。
相変わらずの静寂の中に、ペタペタと軽い足音を鳴らしながら、ステージの脇から一人の人物が姿を現す。
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