戦前静冷

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ポニーテールでまとめられた黒髪。 青色のダサいジャージに、ノンフレームのメガネ。 現・学園長はサンダルの足音を響かせながらステージの教壇につく。 「あ~、みなさんこんにちは。現学園の沢谷です」 頭を掻き、ダルそうに挨拶をしたのはーー女性だった。 教師たち全員の視線が、前回の学園ファイトの覇者、『手すりの沢谷』の異名を持つ現・学園長に突き刺さる。 だが沢谷は気にせず話しを続ける。 「これから学園ファイトが始まるわけですが……私が次の学園長に……今回の学園ファイトで優勝するのは難しいでしょう」 沢谷の言う通り、現学園長が二回連続優勝することは難しい。 なにせ前回優勝者の実力を持つ者だ。 早急に潰しがかけられることは必定だった。 「ですが……この沢谷恭子、二年連続優勝狙わせてもらいます」 沢谷の言葉に、体育館の空気が変わった。 沢谷は、教師全員に宣戦布告をしたのだ。
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