戦前静冷

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「以上」 沢谷は短く言葉を切り、ステージから退場する。 「では、これより学園ファイトを始めます。開始はこれより三十分後。それまでに学園内のどこかに配置して下さい」 教頭が終わりの挨拶を述べ、教師たちがザッと体育館からいなくなる。 「さぁ、今年はどうなるかな?」 沢谷はポツンと体育館で独りごちた。 だが、一人では無い。 「まさか全員に宣戦布告とは。狂気の沙汰ですな」 側にいた教頭が楽しそうに笑うと、それに釣られて沢谷も苦笑した。 「勝負事は勝つから楽しいんじゃない。負けるのは、つまらない」 「あなたはそういう人でしたな。負けず嫌いの悦楽主義者」 教頭はまた楽しそうに笑い、言葉を紡ぐ。 「私はこれで最後。来年もあなたの側で働けないということが残念です」 「私もあなたの支援には助かってたよ。じゃあ行ってきますか」 沢谷が体育館を後にする。 教頭はただそれを静かに見送った。
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