戦前静冷

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「あ、れいちゃんだ。やっほ~」 ひかるは暢気に手を振り返す。 れいちゃんと呼ばれた女性はプルプルと震えていた。 「れいちゃんて言わないでもらえるかしら! 私の名前は玲菜! 上之宮玲菜!」 ハイテンションにツッコミを入れる玲菜。 だが息切れ一つ起こしてなかった。 「あなたはいつもそうやって私をおちょくって……!」 「落ち着け玲菜」 愛流は面倒くさそうに玲菜に仲裁をかける。 「黙ってなさい天見愛流!」 「だから落ち着けっての」 愛流はため息混じりに玲菜を見る。 上之宮玲菜ーー愛流やひかると同時期に朱美学園に入ってきた、担当科目が現代文の教師である。 なにかとひかるに突っかかり、一人で勝手に勝ったり負けたりしている。 ひかるの様子を職員室の影から見ていたのも玲菜である。
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