戦火生存

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キーンコーンカーンコーン…… 静かな校舎に、チャイムが鳴り響く。 今このチャイムが告げるのは、授業の開始や終わりでは無い。 学園ファイトの開始を告げるチャイムだ。 チャイムが鳴った瞬間に、怒声が上がる。 まるで、戦争をしているかの様だ。 幾数もの教師が戦う中、愛流は走っていた。 去年の苦い経験を味あわない為に、愛流は訓練を重ねていた。 今の愛流は、去年の様に始まった瞬間にのめされる程ヤワではなかった。 戦場をくぐり抜け、愛流はただ走る。 逃走の為ではなく、発見をする為に。 しばらく当たりを走ると、愛流の視界が一人の人物を捉えた。 「みっけ!」 大声を出しながら急ブレーキをかけると、その人物はゆっくりとこちらを向いた。 開いているのかよくわからない糸目に、動きやすさを重視したのか、上下とも現・学園長と同じ、青くてダサいジャージを着ている。 ちょっと寝癖のついた短い髪に、少しばかり無精髭が生えている男性だ。
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