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「愛流らしくないよ~」
ポンッと、愛流の肩にひかるの手が置かれた。
「愛流の信条はなんだったけなぁ?」
ひかるは挑発的な笑みを浮かべながら愛流を見た。
「私の、信条……」
「思い出さないなら意味分からないのに変えちゃうからね。例えばーートマトは血の味とか」
「本当に意味分からないわね……でも大丈夫。忘れてないからさ」
愛流の目は、先程とは打って変わって、やる気に満ち溢れていた。
「じゃあせーので言ってね。せー……の!」
「駄目で元々! 当たって砕けろ大玉砕!」
愛流は窓から大声で叫んだ。
よしっと頷き、席に着く。
「やってやろうじゃないの、学園ファイト……狙うは優勝!」
「頑張ろうね、愛流」
ひかるはニコッと笑い、昼食のサンドイッチを食べ始めた。
「あっ……お昼買い忘れた」
愛流がジッと、ひかるを見つめる。
「ひかる様、お恵みを!」
「もぅ、仕方ないなぁ」
ひかるは二つほど愛流にサンドイッチを渡した。
「あ、有り難き幸せ……」
職員室の外では、サンドイッチを頬張る二人を見る一つの影があった。
「ウフフ。暢気ねぇ、曽根川ひかる……」
影はそう呟いて消えた。
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