一話

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  研究員の中に紛れ込んでいた某国の工作員による研究データの持ち逃げである。   このデータが下手に公にでもなれば世界から批判の的になるだろうし戦争にもなりかねない。   自国は死にものぐるいで工作員をみつけだし、データを取り返すことに成功したが……工作員による情報の漏洩、この実験が表へと公表されてしまったのである。     これをきっかけにこの実験の情報は一気に世界に広まりデータ、機材など全て撤去、破壊されてしまった。   この時その破壊対象に神条ユキナも含まれていたのだ。     男女の行為なく試験管から生まれたこの物は〈人〉と認知してよいのか?   人の形をしてはいるが……要は研究結果。 データや物と変わらないとの意見もあった。     彼女が生まれてからおよそ9年間、彼女の人権について激しい論争が続いた。   結果は辛くも人権認定派の勝利となり、彼女は人間と認められることになった。
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