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それから数分走り続けると向こうにアパートが見えてきた。
男はアパートを視認すると徐々にスピードを緩めていく。
ついには小走り程度にまでスピードは落ちるが走るのはやめない。
扉の前にきてようやく止まった男。
部屋の名札には〈東堂 謙一(とうどう けんいち)〉と書かれてある。
ポケットから鍵を取り出し鍵を開けようとしたがすでに鍵は開いていた。
部屋を出る時しっかり鍵はかけたはずだ。
謙一の脳裏に嫌な予感がよぎる。
恐る恐る扉を開けると自分のベッドでもぞもぞと動く物体を発見した。
謙一は自分のベッドでもぞもぞ動く物体にあきれた表情で話しかけた。
「美優……なにやってんだ?」
「先輩を起こしにきたんですがいなくてさびしかったので布団に潜ってみたら先輩の残り香が残っていて今、我慢できなくなってこの匂いをおかずにしようと……いった~~~~~い!」
「ばかやろう」
毛布をかぶっている相手の頭にピンポイントで拳槌をあてる謙一。
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