last scene ~my friens~

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今でも、時々夢に見る時がある。辛いことも沢山あったけれど、それでも楽しい日々。決して変えることなどできなかった運命も、ようやく変えることができた。 誰もいないリビング。誰もいない部屋。全てが終わった後にしては、なんとなく味気ない。ずっと一緒にいられないとわかってはいるが、寂しくないといえば嘘になる。歩夢はなんとなくリビングを見渡して、椅子に座る。昨夜の祝勝会が嘘のように静まり返った家は、自分の家でないかのような錯覚さえ感じる。 頭の上でドラゴが寝息を立てているのをうっとうしいと思いつつ、残ってくれたことを素直に喜んだ。飾られている写真の数々は、未だに記憶に新しい。 歩夢 「……本当に、終わったんだな………」 何か物足りない感じを抱きつつ、身支度を整えて外に出る。朝早い時間だということもあり、まだ空気がひんやりと程よく冷たい。それを肺一杯に吸いこみ、歩き始める。 流れていく景色。空を漂う雲。差し込む太陽の光。寄せては返す波と吹き抜ける風。全てが新鮮でいて、味気ない。前は一人で見ても何も感じなかったのに、今になって彼女たちのありがたみが身にしみる。もしもなぎさがいたならば、「やっと気づいたの?」などと言ってからかわれるだろうが、それも今じゃ聞けずじまい。あんなうるさい奴でも、いざいなくなってみると物足りない感じだ。
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