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フェンスに肘をついてもたれかかる。
ドラゴ
「歩夢~?」
歩夢
「やっと起きたか寝坊助」
ドラゴ
「そんなことよりさ~………」
間の抜けた声で目をこすりながら、フェンスに降りる。
ドラゴ
「なんで泣いてるの?」
ドラゴの言葉に半信半疑になりながら、おそるおそる頬に触れる。湿った感触を感じながら、歩夢は小さく笑みを浮かべた。
家に帰っても、それが止まることはなかった。何もない部屋を見る度に、涙が溢れて止まらない。
なんとも情けない。こんなに脆いとは自分でも予想外だ。
らしくない。こんなことでは、それこそいい笑いものだ。思い出に浸るのはもう終わりしよう。こんなことでは、いつまでも前に進めない。
歩夢は顔を上げ、心配そうに見ているドラゴを鷲掴みにする。
ドラゴ
「や、やめて~!?」
ジタバタするドラゴが面白くて、今までの事が嘘のように笑いだす。
ドラゴ
「……心は決まった?」
歩夢
「あぁ。おかげ様で」
この先また、今回のような事があるかもしれない。自分ではどうにもならない時の流れに流されそうになる事もある。それでも、この繋がりだけは忘れない。遠く離れた空の下でも、きっとずっと繋がって行ける。
さぁ、歩き出そう。俺たちの旅は、まだ始まったばかりなのだから。
see you agein........
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