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ノーザ
「やれ、“ソレワターセ”!」
木に取り憑いたソレワターセが頭部の葉をまるで刃物のように鋭くして放つ。四人はそれを飛び上がってかわし、キックを放つ。が、それは横から振られた根によって阻まれ、地面に叩きつけられてしまう。
パッション
「くっ……思うように動けない……!?」
変身してからずっとあった僅かな違和感。それが徐々にひっそりとしのびよってくるようだ。
ノーザ
「さぁ終わりだよプリキュア!」
嘲るように高らかに告げるノーザ。その手に奪い取ったシフォン――“インフィニティ”を掲げて笑う。勝利を確信した彼女の笑い声は、四人にとっては悪魔の笑い声にしか聞こえない。
――大切なモノほど壊れやすいものはない。だから俺は持つのをやめたんだ。
ふと、歩夢の言葉が頭によぎった。
大切なモノほど壊れやすい。容易く奪われ、失われる。それが第三者の仕業だろうと何だろうと、そういうものだ。そして人はこれを必死になって守り続ける。なんとも愚かしいことだが、ピーチはそれに対して猛烈な反発を覚えた。身体の奥底にある熱いなにかがふつふつと湧き上がって彼女を立ちあがらせる。
ピーチ
「……たしかに、そうかもしれない。けど、だからみんな頑張れるんだよ。失いたくないから……」
まるで誰かに語りかけるように言うピーチ。それを隠れるようにして聞いた歩夢は目の前でぬいぐるみサイズで羽を羽ばたかせているドラゴを見る。
もしも………もしもまだ、間に合うのなら。置き去りにしてきたモノたちを取り戻せるていうのなら。
歩夢
「……かけてみるのも、いいかもな」
浮かんだ確信と覚悟を含んだ笑みを浮かべる歩夢を見て、ドラゴも笑う。歩夢が力強く頷くとドラゴはコミューンへと姿を変え、彼はそれをつかんで森林を出てプリキュアたちの前に出る。
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