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「どうしたんだろう……」
曽根川ひかるは首を傾げた。ぱさりと落ちてきた黒髪が目にかかったので、斜めったままの頭を振る。
女の子がしゃがみ込んでいたのだ。
場所はひかるの通う北見高等学校の、校門を出てすぐ右側。錆びてボロっちくなった柵の脇。
触角みたいなアホ毛が特徴的なその女の子は、膝を抱いた状態のまま微動だにしない。
「あのー、大丈夫……ですか?」
ひかるは肩に手を置き、声を掛ける。条件反射だった。
よく「ひかるってお節介だよね」と言われるので控えようとは思っているのだが、こればっかりは体が勝手に動くので仕方ない。
うんうん、と自己完結していると、件の触角少女がこちらを見上げていた。ひかるのアーモンド型の目と、少女のパンダみたいな垂れ目がかち合う。
「…………」
「…………」
無言。
見つめ合う。
と、突然いきなり急に触角少女が立ち上がった。ピンクと水色のごちゃごちゃした、なんだか奇天烈なワンピースが揺れる。
ひかるは思わず一歩退いた。
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