「へ?」

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   ひかるがこの少女に出会ったのは、偶然であり必然だったのだろう。  ひかるが即帰部(帰宅部の進化形。ただ帰るのではなく、どれだけ早く帰れるのかを競う部活)に所属していたこと。帰りのSTが短かったこと。  これらが主な理由に挙げられる。  とまぁ、こんなことを考えているのは単なる現実逃避であって―― 「ちょ、止まって! こける!」 「メンバー確保~♪」 「速い。速いって! てか視線が痛――あ、ごめんなさいっ!」 「メンバー確保~♪」  永遠と同じフレーズを歌い続ける少女に引っ張られ、人多き大通りを爆走中。  明らかに迷惑そうな顔をしている通行人達の視線に萎縮し、ぶつかった人にへこへこ。真面目に生きてきたひかるにとって、この現状は耐え難いものであった。てかぶっちゃけ泣きそうである。  しかし少女は止まらない。  細道に飛び込むと右へ左へと駆け回り、表通りしか知らないひかるは抵抗出来なくなった。ここに放置されたら帰れない。  店はちっこいスナックくらいで他は代わり映えのしない民家。こんな所、家の付近でも下手すりゃ迷うひかるにしたらA級ダンジョンだ。  穴抜けの紐が欲しい、と半ば本気で思うひかるだった。  
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