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目的地に到着するまで、それから軽く十分は要した。
体育の授業でさえ汗だくになるひかるは息も切れ切れで、夏服のシャツは透けてパステルカラーのブラがうっすらと見える。
対する少女は疲れた様子など見せず、額に薄く浮かぶ汗をぐいと拭い、
「いやー、喜びのあまりついつい無駄に走ってしまったよ」
清々しいまでの笑顔にひかるは唖然。
てか呼吸すらしんどくて何も言えなかったりする。青いはずの空が紫に見えてた。
「んー、体力ないね」
ぶん殴ってやろうか、と真剣に思った。
とにもかくにも回復しにゃならんので、ひかるは前屈みでぜいぜいはあはあ。せめて手を離して欲しい。
そんなひかるの体調はお構いなしに、少女は再びずいずいと進み始めた。
するとすぐ、今まで容赦なく照り付けてきていた太陽の気配が失せる。
「げほっ……室内……?」
万調とは言えずとも、声ぐらいなら出せるようになったひかるは周りを見渡す。
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