プロローグ

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何にも味しねーじゃん、あっそっか、去年、花見で食べたの桜の塩漬けか……。 ユリナは携帯を取り出して、メールを確認した。 兄貴からメールが来ていた。 ≪ユリナ、ゴメン、ゴメン、ピトンの新作のバック売り切れでなかった。他に欲しい物はない?≫ ユリナは、顔をひきつらせて、携帯を叩くように打ち出した。 「なんでよーもう!あれ可愛いのに一ヶ月前に言ってたでしょ。バツとして、カルテイエイの時計買ってよ!」 ≪そんな予算ないよ≫ 「予算て何よ!兄貴の金じゃないの!」 それっきりユリナの兄貴からはメールが来ない。 もう知らない殺人事件が起きようが、北からミサイルが飛んでこようがユリナは絶対に動かない。 ユリナは、このクラスに友達はいない、Bクラスに親友のユキがいて、後はビジネス科にミサと女子空手部にサリナがいる。 ガラ ガラ 新しい担任の鬼瓦が入ってきた。名前と同じように鬼瓦のような厳つい顔をしているが、どこの遺伝子が狂ったのか性格は女性で、生徒から鬼おかまと呼ばれている。ユリナの一番嫌いな先生だ。 「皆さまー、おはようございます。今日から新学期でーす。入試には二年の成績が大事なのよー、しっかりお勉強しましようね」 おかま言葉で鬼瓦が言う。 ユリナにとっておかま言葉と虫が天敵だ。鬼瓦の言葉を聞いて、全身に鳥肌が立ってめまいがしてきた。両手で耳を塞いで、じっと耐えている。 それに、鬼瓦が気づいたようだ。 「吉祥院さん、何しているの?」
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