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数分後、棚の一番下を覗いていたアイルが声をあげた。
「あった!
これかな?」
ドンガラガッシャンというお決まりの轟音と共に、アイルが飛び出した本に埋もれた。
どうやら下の棚に入っていた本を全て引っ張り出してしまったようである。
そして掲げた物は、結構な厚さと大きさを誇ったボロボロの本だった。
「すごい大きさね……それごと出るのは難しいでしょ、貸しなさい」
一見アイルの首元くらいにまで届きそうな本を、身長は高い方であるレイナがアイルの上からのけた。
その動作に片っ端から本を引っ張り出して、半ば本の山に埋もれていたアイルは片眉を上げる。
「レイナってば」
アイルが不満げなのも仕方のないことだった。
彼女は近接格闘が必須である魔闘科クラス。
遠距離攻撃で魔法を打ち込む魔射科クラスのレイナより遥かに体力も腕力も上。
それを知っていながらレイナはアイルが自分より小さい女の子だからと、こんな風に気を使うのだ。
「……?
なに、さっさと出なさいよ」
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