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レイナはいつまで経っても本の山に埋もれたままのアイルを急かしたが、アイルは変わらずにぱっ、と仰向けのまま笑った。
「いやいや、僕はレイナのそういう鈍感で無駄に男らしいところが大好きだよん」
「ほめてないわよね、それ」
ほめられたどころか微妙にけなされた感じしかしない言葉にレイナは顔をしかめたが、アイルが訳の分からないことを言い出すのはいつもの事。
ため息をついてそのセリフを受け流した。
「そんな事より、さっさと他の本戻して帰るわよ!
全く、こんな所先生に見つかったら……」
本を抱えてぶつぶつ考え始めたレイナを尻目に、ようやく本の山から抜け出したアイルは、奇妙な物を見つけた。
視線の先は勢い余って本が全てすっぽ抜けてしまった棚の奥。
長年本がしまいっぱなしだったのだろう、日焼けしていない壁には図書室ではまず見かけないだろう違和感マックスな、
一つの赤い押しボタンがあった。
防護ケースで守られたそれにはお札らしき紙がペタリと貼られ、隣には『押すな』と看板が。
「……んふふ」
アイルの目が怪しげに光る。
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