夜明け前

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 児玉由香里は、人魚のように、シーツの海に浮かんでいた。  上半身を起こし、枕元に置いた腕時計を、ぼうっと眺めていた。  午前四時。  恋人の波多野潤から、まだ連絡はない。  由香里は、栃木県北部、日光霧降高原入り口手前にある、潤の実家の旅館に、潤の友人の村上夫妻と、四人で宿泊していた。
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